旅の基本情報
- 出雲大社に行きたいけど、車なしでも大丈夫かな?
- 国宝松江城や足立美術館に行ってみたい!
- 鳥取砂丘って公共交通だけで行けるのかな?
山陰地方への旅といえば誰もが思い浮かべる出雲大社や鳥取砂丘。
大阪から公共交通だけで巡る出雲・松江・鳥取の4泊5日モデルコースを実際の旅程をもとに前後編に分けてご紹介します。1泊だけ贅沢な温泉宿に泊まり、残りはコスパ重視のビジネスホテルに宿泊した「上手に贅沢するメリハリ旅」で、山陰の魅力をゆっくり味わいました。
この記事では、前編として旅の前半を旅行記としてまとめました。
「車なしで大丈夫?」「公共交通で出雲観光はできる?」と気になる方に役立つ、アクセス・所要時間つきの完全ガイドです。
👉後編(4〜5日目):足立美術館・白兎神社・鳥取砂丘はこちら
1日目|出雲大社の神在祭と日御碕
神在月に初めて出雲大社を訪れる旅となり、ワクワク感でいっぱいの出発です!
神在月とは、旧暦10月、全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲の国に集まる月で、他の土地では神様が留守になるので神無月といいますが、出雲では神在月と呼ばれます。
アクセス|大阪から出雲大社へ(公共交通利用)
公共交通利用で大阪から出雲大社へ行く場合、いくつかのアクセス方法があり、おおよその所要時間は以下の通りです。
- ✈️ 飛行機(2時間)
伊丹空港 → 出雲縁結び空港(50分)
出雲縁結び空港 → 出雲大社(連絡バス 40分) - 🚆 電車(5時間)
新大阪 → 岡山(新幹線 45分)
岡山 → 出雲市(特急やくも 2時間45分)
JR出雲市駅 → 出雲大社(⼀畑バス 25分) - 🚌 高速バス(7時間)
大阪 → 出雲市(高速バス 5時間30分)
JR出雲市駅 → 出雲大社(⼀畑バス 25分)
今回は所要時間が一番短い飛行機を利用し、伊丹空港を7時過ぎに出発して、出雲大社に9時半頃到着しました。
出雲大社|全国から八百万の神々が集う神在祭の参拝体験

全国から八百万の神々が集う神在月の神在祭の期間中の出雲大社。
通常、神々はそれぞれの土地を守っていますが、旧暦10月11日から17日まで7日間、出雲の地に集まり、「縁結び」や「人のご縁」「農作・商売・結婚」などの縁を話し合うと伝えられています。

祭りには一般の人は参列できないものの、境内での参拝は可能で、参拝者で賑わう拝殿は厳かな空気に満たされていました。
出雲大社の参拝方法は、以下のように一般的な神社とは異なるので要注意です。

神在祭期間中、神楽殿では午後5時から、以下の順で「夜神楽(よかぐら)祈祷」の神事が執り行われ、当日神楽殿で申し込むことができます。この時もたくさんの方が申し込みをされている様子でした。
- 神職による祝詞奏上
- 参加者の名前と願い事が読み上げられる
- 巫女舞の奉納と代表者による玉串拝礼

本殿の東西にある十九社は、通常は全国各地の神々の遙拝所ですが、神在祭の間は全国各地から集われた神々の宿所となる社で、普段閉じられている十九社の扉が開かれます。

参拝の後は、出雲大社の西1kmほどの稲佐の浜に向かいます。
稲佐の浜|神迎神事の舞台・日本の渚百選

徒歩15分で稲佐の浜へ。稲佐の浜へ向かう道は、平日にもかかわらず出雲大社に向かう車でかなり渋滞していました。
稲佐の浜で行われる神迎神事では、午後7時、御神火が焚かれ、注連縄が張り巡らされた斎場に神籬(ひもろぎ)が2本、傍らに神々の先導役となる龍蛇神が海に向かって配置され、荘厳な雰囲気の中で神事が斎行されます。
20〜30分の神迎神事の後は、出雲大社拝殿で神迎祭が執り行われます。稲佐の浜斎場での参列、出雲大社への供奉(おとも)ができますが、浜に観客席などはなく、フラッシュ撮影は禁止されているので注意が必要です。
「いつか神迎神事にも参列してみたいな」と思いながら、日本の渚百選にも選ばれている美しい砂浜と青い海を眺めました。
日御碕神社と日御碕灯台|出雲松島の絶景スポット

稲佐の浜からバスで日御碕へ移動。渋滞の影響でバスが遅れていましたが、バス停のQRコードから運行状況が分かったので安心して待つことができました。
結局バスは30分くらい遅延したので、神在祭の時などは時間に余裕を見たほうが良さそうです。バスに乗ってからは殆ど渋滞なく日御碕に着きました。
日御碕神社は、以下のように重要文化財の上下二社から成り立っていて、伊勢神宮の天照大神と出雲大社の大国主大神の父・素戔嗚尊(すさのおのみこと)が同じ敷地内にまつられている、非常に珍しい神社です。
| 社殿 | 主祭神 | ご利益 |
| 上の宮(神の宮) | 天照大御神(あまてらすおおみかみ) | 幸運恵、殖産興業、家内安全など |
| 下の宮(日沈宮) | 素戔嗚尊(すさのおのみこと) | 厄除開運、災難除など |

下の宮は日沈宮(ひしずみのみや)と呼ばれ、伊勢神宮が「日の本の昼を守る」のに対し、日御碕神社は「日の本の夜を守る」と言われています。

朱塗りの社殿が美しい日御碕神社を参拝した後は、徒歩10分ほどのところにある日本一高い石造りの灯台・日御碕灯台へ。

灯台内部の163段のらせん階段で上がる展望台からは、眼下にパノラマの日本海の絶景と島根半島の全景が一望でき、晴れた日には南に中国山地、はるか北には隠岐諸島が望めるそうです。

灯台から、海食によって隆起した岩盤や柱状節理の岩石や断崖絶壁が連なるダイナミックで美しい海岸線の景色を楽しみながら松林の遊歩道を進むと「出雲松島」と呼ばれる絶景ポイントに着きます。
日本海の絶景を満喫した後は、日御碕灯台から再びバスで出雲大社に戻ります。
出雲大社|素鵞社(そがのやしろ)で御砂をいただく

出雲大社御本殿北側にある素鵞社(そがのやしろ)は、ヤマタノオロチ退治で有名な素戔嗚尊をまつる社で、出雲大社の境内で最強のパワースポットと言われていて、床縁下の御砂をいただいて帰って御守としたり、屋敷の土地や田畑に撒き清めて神様のご加護をいただくという信仰が古くからあります。
これは、まず稲佐の浜の砂を採り、その砂を素鵞社の床縁下に置き供え、素鵞社の御砂をいただいて帰るというものです。
私も改めて出雲大社を参拝し、素鵞社をお参りした後に稲佐の浜で採ってきた砂をお供えして、素鵞社の御砂をいただきました。


御砂をいただいたら再び境内を散策して、バスでJR出雲市駅へ向かいます。
宿泊|(1日目)スーパーホテル出雲駅前にチェックイン

1日目の宿「スーパーホテル出雲駅前」は、JR出雲市駅南口より徒歩0分で公共交通旅の拠点として最高の立地。
「お部屋タイプおまかせ」のお得なプランで予約した部屋は、ダブルサイズのワイドベッドとロフトベッド付のスーパールーム(12㎡)でした。

スーパーホテルのおすすめポイントをご紹介
- 暗証番号で部屋のロックを解除するのでカードキー不要
- 部屋の枕以外に選べる7種類の枕
- ランドリーには無料の洗剤
- 女性用のスキンケアアメニティ
- 夜はラウンジでアルコールも充実のウェルカムバー
- 朝食ビュッフェ無料
夕食|地魚料理で人気の「久鶴」へ

チェックインして一息ついたら夕食に出かけます。この日の夕食はJR出雲市駅北口から徒歩3分の「久鶴」で。かなりの人気店で、早めの時間は予約で一杯だったので20時半の予約で伺いました。

出雲ののどぐろは最高!と聞き、期待が膨らみましたが、注文してから焼かれた旬ののどぐろは脂がのった身がホクホクで旨味がぎゅっと凝縮していてまさに絶品でした!
のどぐろの季節に出雲に行かれるか方にはぜひ味わっていただきたいです。
ご夫婦で切り盛りされているこぢんまりしたお店で、お二人の気さくなお人柄も温かく、とても居心地の良い空間でした。どの料理も美味しく、落ち着いた雰囲気の中で出雲ならではの味を堪能しました。

満足感いっぱいの夕食で充実した1日をを終え、宿に戻りました。
【1日目:タイムスケジュール】
07:15 伊丹空港発 - 08:05 出雲縁結び空港着
08:50 出雲縁結び空港 (連絡バス40分)
09:30-11:15 出雲大社 (徒歩15分)
11:30-12:00 稲佐の浜 (バス40分)
13:10-13:30 日御碕神社 (徒歩10分)
13:40-14:20 日御碕灯台 (バス30分)
14:50-16:20 出雲大社 (バス40分)
17:00 スーパーホテル出雲駅前 チェックイン (徒歩5分)
★20:30- 夕食:久鶴
2日目|八重垣神社と松江城と温泉宿「なにわ一水」

2日目は9時頃ホテルをチェックアウトし、JR特急やくもで松江に向かいます。
八重垣神社|鏡の池の縁結び占い

松江駅からバスで、素盞嗚尊(すさのおのみこと)がヤマタノオロチ退治後に八重垣を作って稲田姫をかくまったという伝説に由来する八重垣神社へ向かいます。

奥の院の鏡の池では、小雨が降る中、占い用の紙を水に浮かべてご縁を占う観光客で賑わっていました。
国宝松江城|天守から望む宍道湖と城下町

八重垣神社からはバスで国宝松江城へ向かいます。松江神社にも参拝して、いよいよ全国に12城しか残っていない貴重な現存天守の1つである松江城へ!

松江城では、天守から松江の城下町や宍道湖を一望できます。
周辺の松江神社、松江護国神社、城山稲荷神社を巡って歴史を感じる時間を過ごした後は、鎮守の森散策路を散策。
塩見縄手の武家屋敷通り|松江の情緒あふれる歴史街並みを散策

その後は松江城の北側のお堀沿いの、江戸時代の城下町の風情が残る白壁の武家屋敷が並ぶ「日本の道100選」にも選ばれている塩見縄手を歩きました。

お掘と城下町らしい雰囲気をたっぷり楽しんだら、徒歩で2日目の宿に向かいます。
宿泊|(2日目)宍道湖畔の温泉宿「なにわ一水」の露天風呂付客室

2日目の宿は宍道湖畔の人気温泉宿「なにわ一水」。全ての客室が異なるデザイン、インテリアで設えられているそうで、リピートするのも楽しみな宿です。
大浴場にも露天風呂がありますが、部屋の露天風呂も美肌泉質が認められた松江しんじ湖温泉のお湯です。


ベランダのガラス壁部分にはブラインドがあり、露天風呂に入る際は目隠しができます。
宍道湖ビューの客室からは夕闇に染まっていく景色が美しく、露天風呂からの眺めも格別。静かな湖を眺めながら温泉に浸かる贅沢な時間を過ごせました。


夕食は日本海で穫れた魚介や、しまね和牛を使った会席料理。お米は島根県仁多産こしひかりの新米で、粘りと弾力のある噛むほどに甘味が増す美味しいご飯でした。

食後は弱アルカリ性の美肌の湯、松江しんじ湖温泉のお湯で温まりゆっくり就寝。館内着は上下セパレートタイプで浴衣より動きやすくて快適に過ごせました。
【2日目:タイムスケジュール】
09:00 スーパーホテル出雲駅前 チェックアウト
09:30 JR出雲市駅 (特急やくも30分)
10:00 JR松江駅 (バス20分)
10:40-11:40 八重垣神社 (バス20分)
12:30-14:40 松江神社→松江城→松江護国神社→城山稲荷神社→鎮守の森散策路→塩見縄手 (徒歩20分)
15:00 なにわ一水 チェックイン
3日目|美保関と宍道湖サンセットクルーズ

朝目覚めると朝焼けの宍道湖。寝覚めの露天風呂に浸かりながら眺めるのも心地よい時間でした。

朝食も安来産豆乳で作られた豆腐や島根県仁多産こしひかりなど、地元食材を使った料理が並び、朝から大満足です。11時にチェックアウトしたら、湖畔を少し散策してから3日目の観光へ出発です。

美保関灯台|断崖絶壁に立つ白亜の灯台と日本海の絶景

散策しながら松江しんじ湖温泉駅に向かい、そこから以下のようにバスを乗り継いで美保関灯台へ向かいました。美保関バスターミナルは広くてきれいな待合室があり、雨天時や待ち時間が少し長い場合も安心です。
松江しんじ湖温泉駅
↓(一畑バス5分)
県民会館前
↓(一畑バス30分)
美保関バスターミナル
↓(コミュニティバス30分)
美保関
↓(観光案内所の送迎5分)
美保関灯台

コミュニティバスの終点、美保関から美保関灯台までは、徒歩だと30分以上で最後は急な上り坂です。これを覚悟してコミュニティバスに乗り込んだところ、運転手の方が「美保関バス停にある観光案内所で送迎してくれるかもしれないから聞いてみると良いですよ」と教えてくださいました。
観光案内所で尋ねると、灯台の隣にあるレストランかお土産店を利用すると復路も送迎していただけるというシステムでした。送迎のおかげで観光時間にもゆとりができ、とてもありがたかったです!昼休みの時間帯など、送迎不可の場合もあるとのことだったので事前確認がおすすめです。(2023.11時点)


送っていただいた駐車場から灯台へ向かう道中にも日本海の絶景が見渡せます。

美保関灯台は島根半島東端の地蔵崎の先端にあり、晴れた日には隠岐島まで望むことができるそうです。日本海に突き出した岬に立つ石造りの白亜の灯台は、明治時代の建築らしい風格を保った佇まいが魅力です。
えびすだいこく両参り|美保神社参拝と青石畳通りの港町散策

その後は再び美保関灯台の駐車場から美保神社近くまで送っていただいて美保神社を参拝しました。
出雲大社と美保神社をあわせて参拝する「えびすだいこく両参り」。出雲大社の御祭神・大国主神(だいこく様)と、美保神社の御祭神・事代主神(えびす様)が親子神であり、この2つの神社をあわせてお参りすることで、より良いご縁に恵まれると言われています。

その後は、越前石や凝灰岩が使われていて雨に濡れると青く光ることから「青石畳」の名が付いたと言われる青石畳通りや、港町らしい古い町並みが残る美保関港周辺を散策しました。

宿泊|(3日目)東横INN松江駅前にチェックイン

再びバスを乗り継いで松江駅に戻り、3日目の宿「東横INN松江駅前」にチェックインします。ビュッフェ朝食付き、JR松江駅北口徒歩2分でコンビニも近く立地抜群のホテルです。
宍道湖観光遊覧船はくちょう|サンセットクルーズ体験

宍道湖観光遊覧船はくちょうのサンセットクルーズへ。ホテルから徒歩2分の第2乗船場から乗船します。サンセットクルーズの出航時刻は日没の時間に合わせて細かく設定されているので、旅行日程が決まったら確認しておくことをオススメします。
天気によって夕日が見れるか気になりますが、松江市観光ガイド「水の都 松江」のサイトには、宍道湖夕日情報として宍道湖に映える夕日が見える度合「夕日指数」がアップされていてとても便利です!



この日は曇り空でしたが、ほんのりオレンジ色に染まる景色を船上から眺めることができました。

夕食|地元の美味しい食材にこだわった「一隆」で

夕食は第2乗船場から徒歩1分の旬菜郷土料理「一隆」へ。島根の郷土料理や奥出雲の地酒、シメの手打ち出雲そばや仁多米おむすびが人気で、平日でもほぼ満席だったので予約必須かと思います

カウンター席で、地酒の飲み比べセットと旬の魚介や大将オススメの一品を堪能し、シメにはしっかりした蕎麦の風味が味わえる手打ちの「十割出雲そば」をいただきました。メニューも豊富で居心地も良く「松江に来たらまた行きたい!」と思えるお店でした。
【3日目:タイムスケジュール】
11:00 なにわ一水 チェックアウト
11:00-11:30 湖畔散策
11:40 松江しんじ湖温泉駅 (一畑バス5分)
11:55 県民会館前 (一畑バス30分)
12:40 美保関バスターミナル (コミュニティバス30分)
13:15 美保関 (送迎車5分)
13:20-13:40 美保関灯台 (送迎車5分)
13:45-14:10 美保神社、青石畳通り、美保関港(コミュニティバス30分)
14:50 美保関バスターミナル (一畑バス30分)
15:50 東横INN松江駅前 チェックイン (徒歩2分)
16:30-17:20 宍道湖観光遊覧船第2乗船場 サンセットクルーズ(徒歩1分)
★17:45 夕食:一隆
前編まとめ
公共交通だけで巡る「出雲・松江・鳥取の5日間の旅」の前半は、神在祭の出雲大社参拝からスタートし、出雲大社にゆかりの神社を参拝し、国宝・松江城や宍道湖を巡り、温泉露天風呂を満喫し、出雲のグルメを味わうことができた盛りだくさんの充実した3日間でした。
後半は、松江から西に進み、足立美術館や最終目的地の鳥取砂丘に向かいます。
